糖尿病患者に糖尿病壊疽が増加!
糖尿病患者によく見られる末梢(まっしょう)血管障害は、糖尿病腎症、脳卒中、冠状動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)に比べて合併頻度は低い。
閉塞(へいそく)性動脈硬化症は、下肢の動脈に動脈硬化性変化があらわれ、長時間歩くことができなくなり、足を引きずる(跛行(はこう))ようになる。
また、下肢から足の皮膚温が下がったり、足背の動脈の拍動が触れにくくなったりする。閉塞性動脈硬化症の診断は、皮膚温を測定するサーモグラフィーを行ったり、上肢と下肢の血圧を測定したりして、上肢に比べて下肢の血圧が異常に低ければ、この病変は推測できる。
糖尿病壊疽(えそ)では、下肢の先端が壊死に陥り、黒ずんだりする。閉塞性動脈硬化症とは違い、大腿(だいたい)動脈や、けい骨動脈などの大きな動脈には、閉塞を認めず、局所の動脈拍動はいたって良好状態。
日本では、糖尿病壊疽は、靴を常に履いている欧米諸国に比べて比較的少ないとされてきたが、最近の食生活の欧米化に伴い増加傾向にある。糖尿病神経障害の合併例では、患者は痛みを感じることができず、軽い傷や靴擦れ、皮膚の水虫をきっかけとして糖尿病壊疽を発症する。糖尿病患者では、免疫力が低下し、細菌に対する抵抗力が低下したり、末梢循環障害のため、軽い傷でも治りにくく、糖尿病壊疽を発症するに至るわけだ。
私は以前、自分で経験した患者を含む日本の報告例243症例の解析を行ったことがある。糖尿病壊疽の合併例は、比較的高齢者の男性が多く、糖尿病の発病期間が長期に至っており、糖尿病のコントロール状態が不良で、網膜症、腎症、神経障害との合併タイプの糖尿病患者が多かった。
糖尿病壊疽を多く発症する身体の部位としては、下肢末端(特に足指)、足、下腿(かたい)で、病変部位を切断(20%)したり、糖尿病壊疽が直接の誘因となり、死亡した患者の症例(10.8%)も少なくなかった。
医師で、某大学教授(65歳、男性)の事例を紹介しようと思う。彼は、20年来の糖尿病で、経口血糖降下薬で治療を続けていたが、大酒飲みで、糖尿病のコントロール状態は不良だった。小さい外傷をきっかけに左第一足指に糖尿病壊疽を生じてきたが、痛みを感じないので放置していたという。
だが、次第に病変が拡大してきたため、急いで入院し、外科治療を受けるようになったが、すでに手遅れで足指2本を切断せざるを得なくなってしまった。
糖尿病患者の方は、常に足の清潔を保ち、入浴後、鏡を使って足底の点検を行うことをお勧めする。
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