糖尿病になると動脈硬化性疾患の発症早まる!
心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性疾患は、糖尿病患者に特有な合併症ではないが、糖尿病患者では10〜15年早く発症することが判明している。
「虚血性心疾患(冠動脈疾患)」
心臓の筋肉(心筋)は、心臓を冠状に取り巻いている冠状動脈により、酸素や栄養の補給が常時行われている。冠動脈硬化では、動脈の内腔(ないくう)が狭くなり、心筋への血液供給量が少なくなって(虚血)、狭心症(一過性心筋の虚血=酸素不足)をまねき、胸痛発作や心筋梗塞(冠動脈の血流が急激に減少し、心筋が壊死する疾患で、突然死する場合もある)などを引き起こす。
糖尿病患者では、(1)冠動脈硬化病変が広範囲に見られる (2)無痛性、無症候性のことが多 い (3)心不全を起こしやすく、死亡率が高い。予後不良の症例が多い――などの特徴がある。
疼痛が少ない理由は、糖尿病神経障害のため、痛みを感じにくいことも関連している。死亡率が高いのは、心不全やショックに陥りやすく、糖尿病腎症などを合併しているためとされる。
糖尿病の治療中だった知人(61歳の男性)も普段は元気だったが、ある日突然、急性心筋梗塞が起こり、「苦しい」と叫びながら救急車の中で絶命していたという。現在でも、急性心筋梗塞の死亡率は30%にのぼり、その大半の患者が病院へ到着前に死亡しているという。
「脳血管障害(脳卒中)」
脳卒中とは、脳梗塞(脳動脈の一部が閉塞(へいそく)し、その血管によってかん流されている部位が壊死する)、脳出血、くも膜下出血の総称である。
糖尿病患者の脳血管障害の特徴は、脳梗塞が多く、出血が少ないこと。しかも、死亡に至らない比較的小さい脳血管障害が多い。
欧米の研究や日本における調査結果では、どちらも脳梗塞の重要な危険因子として糖尿病が挙げられている。
脳卒中の主な症状の一つに半身不随がある。ある糖尿病患者(72歳の男性)は、糖尿病で網膜症、腎症を合併していたが、ゴルフに行くなど比較的元気な状態だった。
しかし、お盆中お墓参りに行ったところ、突然手に力が入らなくなり、抱えていた孫を落としそうになったそうだ。病状は次第に悪化し、手足とも半身不随になり、すぐに入院したという。
この事例の場合、夏の暑い時期に孫を抱いて歩くなど脱水も関係し、脳卒中が起こった可能性がある。
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