糖尿病は血管障害を併発しやすいので気をつけろ!
糖尿病患者は、網膜症、腎症、神経障害という3大合併症にかかりやすく、糖尿病3大合併症にかかると患者の生活の質(QOL)を著しく低下させてしまうことをこれまで何度も記述してきた。さらに糖尿病患者は普通の健康人に比べて動脈硬化症が10〜15年ほど早く進行し、心筋梗塞や脳血管障害を引き起こす可能性も高い。
最近、報告された日本糖尿病学会の糖尿病患者の死因に関する調査結果では、血管障害(腎症、心筋梗塞、脳卒中)は26.8%で、悪性新生物(がん)の34.1%に次いで第2位だった。
しかし、糖尿病3大合併症である網膜症、腎症、神経障害の場合とは違い、動脈硬化症の発症や進行の程度は、糖尿病の血糖コントロール状態や罹(り)病期間とは必ずしも関係はなく、動脈硬化症が起こる原因には、さまざまな要素が関係している。
(1)高血糖
高血糖で、血管障害が引き起こるメカニズムとしては、血管のタンパク質にブドウ糖が結合する糖化タンパク(AGE)、ポリオール経路の活性が高くなることによるソルビトール生合成の促進など多くの要因が関係している。
(2)インスリン抵抗性・高インスリン血症
インスリン抵抗性とは、体内にインスリンが存在しているがインスリン作用がフルに発揮されず、十分に血糖が低下しない状態だ。これがいわゆる2型糖尿病の発症原因になっている。インスリン作用の低下を補足するためにインスリンが過剰に分泌されれば、今度は逆に高インスリン血症を招くことになる(インスリンの分泌作用が低下していれば2型糖尿病が発病する)。
体内のインスリンの過剰状態は、血管の平滑筋細胞を増殖させ、動脈硬化を引き起こすことが動物実験や臨床試験で証明されている。私たちも以前、ラットに1年間インスリンを注射し続け、ラットの大動脈に動脈硬化のような病変が起きることを電子顕微鏡で確認している。
現代の日常生活は、運動不足から、インスリン抵抗性状態を招いているが、適度な食事制限と身体の運動トレーニングを続ければ、体内のインスリン抵抗性を改善させ、2型糖尿病の予防や治療に役立つ。
(3)高脂血症
高コレステロール血症、特に高い悪玉コレステロール血症は、動脈に粥腫(じゅくしゅ)という塊(かたまり)を作り、心臓の血管(冠状動脈)を狭くして狭心症を起こしたり、血管が詰まることによる心筋梗塞を引き起こすほか、高血圧、血液の凝固性の異常などにも関連してくる。
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