漢方薬で劇的に改善した糖尿病神経障害の症例とは?
糖尿病の合併症である神経障害は、糖尿病3大合併症の中で最も早く患者に症状が現れ、痛みやしびれ、排尿障害などが主な自覚症状として現れることは前回既に述べた。
糖尿病神経障害の患者が漢方薬を投与されることにより、劇的に症状が改善した症例を紹介したいと思う。
69歳のある男性は、20年来の糖尿病で経口血糖降下薬を服用し、食事療法、運動療法を厳格に行っていたが、血糖コントロール状態が不良でHbA1cが9〜10%となったために、約5年前からインスリン治療に変更した。
現在は、タイマー型インスリン注入器を使ってイノレット30Rを朝14、夕10単位注射している。食後血糖は200mg/dl前後、HbA1c7・0〜7・5、血圧もほぼ正常範囲内だ。
2006年9月、左足背部に触れると激痛を感じ、正座もできないなど、日常生活に大きな支障を伴っていた。この男性は、近くの整形外科で「電気治療」を数ヶ月間継続し、その後、接骨医院ではマッサージを受けたが、改善の傾向は一切みられなかった。
今年4月の診察時、男性は両手がビリビリしていると訴え、膝蓋腱(しつがいけん)反射、アキレス腱反射はやや低下状態。音叉(おんさ)で下肢の振動覚も調べたが、大幅に減弱していた。
この男性を糖尿病神経障害と診断し、漢方薬の牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)エキスを4週間投与した。毎食前に7.5グラムを服用したところ、服用数日後、下肢の皮膚の激痛は次第に緩和され、1週間後にはほとんど激痛がなくなったという。1か月後の診察時に男性から「本当にありがとうございました」と感謝の言葉を頂いた。
糖尿病神経障害と漢方薬については、機会を改めて説明するが、牛車腎気丸が、神経組織の代謝を改善したり、神経組織内の血液の流れを良くすることが判明しており、今回もそのようなメカニズムが関係している可能性がある。
一般的には、アルドース還元酵素阻害薬、ビタミンB12、血流改善薬、消炎鎮痛薬、抗不整脈薬などを糖尿病神経障害の患者には投与するが、治療がうまくいかないケースも多く、今回のように薬剤が有効だったのは極めて例外的なケースといえるだろう。
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