糖尿病の神経障害は自覚症状に注意せよ!
糖尿病神経障害は、これまで取り上げてきた網膜症、腎症という3大合併症の中では、患者が最も早く気付きやすい合併症である。しかし、糖尿病神経障害の症状を患者自身が糖尿病が原因で起きた症状とは考えずに放置していることも少なくない。
糖尿病神経障害の自覚症状としては、「熱い砂の上を素足で歩いている」「手が布団に触れるだけでビックリするほど痛い」など、手足の先端の痛み、しびれ、冷感などがある。また、「こむら返り」といって手、足の筋肉がけいれんを起こし、痛むこともある。
さらに、多角所見としては、でん部や大腿(だいたい)部筋肉が萎縮(いしゅく)したり、筋力が著しく低下して立ち上がることができなくなったりすることもあるようだ。
このような末梢神経の障害に加えて、自律神経(交感神経と副交感神経で構成され、呼吸や心臓からの血液を送り出し、消化活動を調節する神経)症状として立ちくらみ、めまい、下痢、便秘、排尿障害も報告されている。
当院でも、排尿障害(膀胱マヒ)があり、導尿によって1.7リットルの尿を排泄した患者がいた。男性では、約50%の糖尿病神経障害の患者がインポテンツ(勃起不全)を訴えている。
外来で簡単に行うことができる糖尿病神経障害の検査としては、膝やアキレス腱の反射を打鍵(だけん)筋で調べる「腱反射」検査があるが、糖尿病神経障害に陥ると、反応しなくなったり、弱くなったりすることがある。
また、音叉(おんさ)の底部を足の外側に当てて振動覚を調べる検査方法では、鈍くなったり、消失したりすることが多い。
電気生理学的には、神経の伝導速度や、心電図で脈が規則正しく動いているかどうかを調べる検査方法がある。
糖尿病神経障害も、他の合併症と同じように高血糖が大きな原因となっている。
また、糖尿病神経障害の場合、末梢神経組織の血管が高血糖のために障害化して、内腔がせまくなって、神経組織まで血液が行き届かなくなること(虚血)も関連している。
なぜ高血糖で神経が障害化したり、血管にも障害が起きたりするのだろうか。血糖値が高い状態では、赤血球中のヘモグロビンや動脈の壁、腎臓、神経に含まれているコラーゲンというタンパク質にブドウ糖が結合し、タンパク質を変性させて糖化タンパク(AGE)を形成し、神経障害や血管障害を引き起こすことが分かっている。
また、高血糖という条件の下では、細胞内にソルビトールがたまることも関連している。さらに、高血糖だと血液の凝固性が高くなり、血液が固まり流れなくなることも一因になっている。
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