糖尿病網膜症を予防するために・・食事療法・運動療法がベスト!
糖尿病網膜症は、糖尿病の発病年数とともに次第に発症割合が増加し、20年経過すれば糖尿病患者の80%が罹患(りかん)し、わが国では、毎年3500人が糖尿病網膜症で失明する大変恐ろしい合併症であることは前回述べた。
私も、糖尿病臨床に40年以上携わってきて何十人もの患者が糖尿病網膜症の悪化、そして失明という残念な結果を経験している。
63歳で男性のAさんは、2型糖尿病で、糖尿病の内服薬(経口血糖降下剤)治療を行ってきたが、食事療法や運動療法を継続することができず、血糖値は非常に高く、糖尿病のコントロール状態がとても良くなかった。また、Aさんは高血圧の人でもあった。
Aさんは、糖尿病の発病後約10年で糖尿病網膜症が現れ、次第に悪化して日常生活にも不便を感じる状態になった。その頃から、Aさんの血糖のコントロール状態はやや改善する傾向を示し始めた。Aさんから、「先生に以前から言われていた運動療法の重要性が最近になってやっとわかりました」と言われ、Aさんの血糖値改善の理由がわかった。
Aさんは「散歩に行きたいが、危なくてちょっと外出できないから、室内で青竹踏みをやっています」とのことだった。
糖尿病合併症のない時期には、別段、自覚症状もないので、糖尿病患者は、自己管理や主治医の忠告を無視する傾向が強い。糖尿病網膜症が悪化してはじめて、運動療法を開始する人は少なくない。
しかし、Aさんの場合、糖尿病の恐ろしさに気づくのが10年遅く、眼底出血が継続している。眼底出血が継続した状態で運動を行えば新たな眼底出血を招き、糖尿病網膜症がさらに悪化するリスクが少なくない。
糖尿病網膜症を起こさないようにするには、まず、食事療法、運動療法を徹底して行い、これでも血糖のコントロール状態を良好に保てなければ糖尿病の飲み薬による治療やインスリン注射を行うなど、糖尿病の管理を厳格に行うことが重要になる。
糖尿病の血糖のコントロール状態は、HbA1c(ヘモグロビン・エ―・ワン・シ―)6.5%以下、空腹時血糖110mg/dl未満が望ましいとされている。合わせて高血圧を予防するために血圧の管理も行わなければならない。
眼科医の定期的な検診を受診し、糖尿病網膜症が見つかれば治療・管理は眼科医と内科医の連携プレイで行われる。初期の出血を繰り返し起こしている場合だと、レーザー光線で眼底の出血しやすい場所を凝固させる(光凝固)という方法もある。
もっと進行したガラス体出血(眼球内に出血)や網膜はく離(大きな眼底出血が起こり、回復の過程で網膜にひきつれができ、網膜が眼球の壁からはがれる)が発症している状態なら、糖尿病網膜症の治療に熟練した眼科医の治療が必要となる。
この場合、ガラス体の出血部を取り除いたり、網膜を眼球の壁に固定したりするという、熟練した眼科医のきわめて高度な技術を必要とする手術を行うことにより、視力の回復はある程度期待できる。
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