糖尿病を示す糖代謝異常の最も有効な検査法は、経口糖負荷試験だ
今回は糖尿病の診断について説明する。
糖尿病は、人間の体内で糖質をはじめとする栄養素の代謝(利用のこと)に必要なインスリンというホルモンの作用が低下し、高血糖となってしまう病気のことである。したがって、糖尿病の診断には、高血糖の確認を行う必要がある。
空腹時の血糖の正常値(mg/dI)は、70〜110であり、食後でも140以上に上昇することはない。空腹時の血糖値が126以上、あるいは随時(食後)血糖値が200以上の場合には、「糖尿病型」である。この異常な血糖値が一時的なものではないことを確認するため、2回以上血糖値を測定し、高ければ糖尿病と診断する。
また、口渇、多飲、多尿、体重の減少など糖尿病に典型的な症状があったり、ヘモグロビンA1c(血糖値の1〜2か月の平均)が、6.5以上か、網膜症合併のいずれかがあれば、1回だけの検査であっても糖尿病と診断する。
糖代謝異常の最も有効な検査方法は、経口糖負荷試験である。早朝の空腹時(前夜から10時間以上絶食が必要)に、ブドウ糖75グラムを口から飲み、30分、60分、120分後に採血する。
空腹時の血糖値が126以上、2時間値が200以上であれば(どちらか一方でも)「糖尿病型」、空腹時の血糖値が110未満、2時間値140未満(両者とも満たす必要あり)を「正常型」、正常型、糖尿病型、どちらにも属さないものを「境界型」とする。
正常型の場合は、数年間は糖尿病を発症する可能性は低いが、たとえ正常型であっても一時間値が180以上の場合は、境界型に準じた経過観察が望ましい。
境界型は糖尿病に移行する確立が高く、アメリカの「糖尿病予防プログラム」研究では、3年間に約30%が糖尿病を発病している。境界型は糖尿病特有の合併症である網膜症、腎症などを引き起こす可能性は少ないが、動脈硬化症を発症する危険率が正常者より高く、6ヶ月〜1年ごとの経過観察が必要となってくる。
日本人の場合、2時間値の上昇が空腹時の血糖値の上昇よりも先行する事例が多く、軽い糖代謝異常を積極的に認識するためには、空腹時の血糖値の測定だけでは不十分であり、経口糖負荷試験を行わなければならない。
糖尿病診断の最大の目的は、できるだけ早期に糖尿病を発見し、食事・運動・薬物療法など治療・管理をしっかりと行い、高血糖の持続による網膜症、腎症、神経障害などの合併症の発症と進行を予防することにある。
空腹時の血糖値は、100以下とすべきであるという見解も存在し、糖尿病の診断基準の見直しが行われる予定となっている。
関連エントリー
- 糖尿病の食事療法:フレンチでおいしくカロリーを減らす方法!
- 糖尿病の食事・主食抜いて1品増やす方法!
- 糖尿病の食事=宅配治療食で“自宅入院”
- 糖尿病の食事・食事療法はできることから始められる!
- 糖尿病の食事・デジカメ利用した食事療法!
- 糖尿病予防には低脂肪食より低炭水化物食がベター
- 糖尿病・・適度の運動が動脈硬化を防ぎます!
- 糖尿病の新治療法か!?マゴット(ウジ)セラピー
- 糖尿病患者に糖尿病壊疽が増加!
- 糖尿病になると動脈硬化性疾患の発症早まる!
- 糖尿病は血管障害を併発しやすいので気をつけろ!
- 漢方薬で劇的に改善した糖尿病神経障害の症例とは?
- 糖尿病の神経障害は自覚症状に注意せよ!
- 糖尿病腎症の初期段階での血糖コントロールの重要性!
- 糖尿病の腎症を発症したら、高額な人工透析が必要だ!
- 糖尿病網膜症を予防するために・・食事療法・運動療法がベスト!
- 糖尿病網膜症、発病年数とともに増加!
- 糖尿病の合併症対策=血糖コントロールが大切
- 糖尿病の問診票分析で興味深い成果が得られた!
- 糖尿病の予防と地域連携ガイドの活用法
- 糖尿病は、血糖コントロールで予防できる!
- 糖尿病と診断されたら、どんな合併症を持っているかの検査が重要!
- 糖尿病の治療が適切かどうかの判断基準とは?
- 糖尿病を示す糖代謝異常の最も有効な検査法は、経口糖負荷試験だ
- 合併症による症状が出てから糖尿病に気付くケース
- 糖尿病の歴史→紀元前1500年のパピルスに記載されていた!
- 糖尿病の合併症の増加と大きな課題とは?
- 糖尿病に気付くきっかけとは?
